アパレル・ファッション業界の転職で退職交渉に困った時に、知ってほしいポイント。
働きながら転職活動をしている人が絶対に避けて通れないポイント、それは「退職」です。
友人・知人から誘われたり、ヘッドハンティングされて転職する場合、一般的に必要な「応募」「選考」というステップを省くことができます。
しかし今現在無職でない限り、転職活動において「退職」のステップは避けられません。
退職意思を在籍企業に伝えるタイミングやポイントについては、以前お話しました。
今回は、覚悟を持って退職を伝えたも関わらず、退職交渉が難航していて困った時に活用してほしいポイントをお話します。
退職交渉が上手くいかない原因は、大きく2つ。現職企業の引き止めと退職者の迷い。
まず最初にお話するのは、なぜ退職交渉が上手くいかないのかについて。
ケースは大きく2つあります。
- 現職企業から強引な引き止めにあい、困っている。
- 退職希望者自身に迷いがあり、結論が出せていない。
それぞれのケースを解説しましょう。
1.現職企業から強引な引き止めにあい、困っている。
1つ目は、在籍中の企業から強引な引き止めにあっているケース。
ブラック企業と言われるような、人員が少なくハードワークが当たり前になっている企業では、退職させないために脅しに近いような話をする場合があります。
「勝手に辞めるなんて認めない」
「抜けた損害を補填してもらう」
「育ててやった恩を仇で返すのか」
こういった話を退職希望者に向けて何度も繰り返し、退職意欲を削いできます。
2.退職希望者自身が、退職を迷っている。
2つ目は、退職希望者自身が退職を迷っているケース。
在職企業からは高圧的ではないけれども、丁寧に退職を思いとどまるよう説得をされて心が揺れてしまっている状態です。
「繁忙期が終わるまで待ってほしい」
「新しい人材が入るまで待ってほしい」
「今経営を立て直しているから少し待ってほしい」
など、今辞めてしまったら退職希望者が悪者になってしまうのではないかと良心が咎めてしまうような説得をされた時に起こる状態です。
強引な引き止めにも理由がある。理解を示して調整に協力すれば、円満退職は可能。
次に、先ほど紹介した2つのケースで、どう対応して円満退職に持ち込むかお話します。
まずはなぜ企業は退職を思いとどまるよう引き止め工作をするのか、その理由を知りましょう。
企業が引き止める理由①退職時期が良くない。
引き止め理由としてよくあるのが、退職時期の問題です。
繁忙期に人が抜けてしまうと、新たな人がすぐに入ったとしても戦力として考えるのが難しいため、期待していた売上が取れなくなってしまいます。
この場合は、転職時期を少し先延ばしにして、在籍中の企業に大きな迷惑をかけないですむか、一度検討して見る必要があります。
もし内定をもらっている転職先の企業からの合意が得られなければ、在職中の企業に頭を下げて退職を断行することになり、円満退職とは言えなくなってしまいます。
企業との面接時に、「入社可能時期」について必ず質問されるので、現職の繁忙期を避けた入社希望時期を伝えることをおすすめします。
企業が引き止める理由②人材の問題。替わりがきかないと思われている。
次によくある引き止めの理由は、人材の問題です。
あなたが非常に優秀で、業務を円滑にすすめたり、成果を出す上で欠かせない人材だと思われている場合は、強く引き止められるでしょう。
この場合は、すでに次の勤務先と入社日が決まっていて、絶対に期限までに退職しなければならない旨を丁寧に伝えましょう。
(入社日は、法律上も職務規定上も問題のない猶予がある日を設定しておく必要がある。)
退職の受理は、早ければその場で受理されるケースもありますが、大企業で意思決定に時間がかかったり、強い引き止めで交渉に時間がかかると、退職意思を伝えてから2〜3週間を要するので、転職先企業に伝える入社可能時期には十分注意しましょう。
最終手段は円満退職を諦めること。法律を出せば企業は退職を止められない。
どんなに手を尽くしても在職企業が退職を認めようとしない場合もあります。
その場合は円満退職は諦めるしかありません。
法律と職務規定を持ち出し、「退職届」に退職日を明記して提出します。
上長が受け取りを拒否してきた場合は、人事部門に直接内容証明郵便で退職届を郵送したり、管轄の労働基準監督署に実情を届け出るという方法もあります。
退職を迷っているならば、転職を取りやめる手もある。
引き止められ、話を続けることで退職に迷いが出てしまった場合、転職を取りやめるのも一つの転職活動結果として有りです。
ただし、内定辞退は、返答期限までに必ず行う必要があります。加えて、再度転職活動を始めた時にこの時辞退した企業に転職することは非常に難しくなることは理解しなければなりません。
現職企業からの評価は落ちるかもしれない。
転職を取りやめて、仕事を続ける決断にはメリットとデメリットが存在します。
メリットは環境の変化を抑えることで、精神的ストレスの軽減が見込めることです。
更に、引き止め交渉の中で待遇や環境の改善を勝ち取ることができる可能性もあります。
デメリットは、一度退職しようとした人間として、評価が下がるかもしれません。
引き止め時は良いことを言って、引き止めに成功すると手のひらを返したように待遇が悪化してしまう恐れもあります。
このデメリットの発生を防ぐには、退職を思い留まると結論を伝える際に書面に残しておくしかありません。
退職交渉の話は、同僚の誰にも言ってもいけない。
退職交渉の結果が出るまでは、同僚の誰にも言ってはいけません。
退職しようとしていると噂になってしまうと、退職を止めた際に信用を失ってしまいます。
最後に。円満退職のために、譲歩も大切。
今回は、退職交渉についてお話しました。
アパレル・ファッション業界は狭い業界です。次の職場では関わりがなくとも、いつかまた同じ人と一緒に仕事をすることになるかもしれません。
円満退職ができるよう、できるだけ譲歩できる点は譲歩する覚悟も必要と言えます。